移住者インタビュー

三好市へ移住しようと思ったきっかけ・経緯を教えてください。

僕は、神奈川県の出身なのですが、2009年から奈良に移住しまして、奈良フードフェスティバル「シェフェスタ」というイベント運営の仕事をしていました。その中で、『MINDE』の立ち上げから関わっている喜田亜希子さん(三野町出身)に出会いまして、その縁から、『MINDE』の運営に誘っていただきました。

奈良では、そのイベント運営を中心に、『奈良食べる通信』の編集など、奈良の食と農を盛り上げる活動をしてきましたので、その経験がこの三好で生かすことができれば、やりがいのある仕事ができるのではないかと思いました。

また、料理に関する専門書の編集、料理を専門とするライティング業務、フードイベントのディレクションなど、食に関わる仕事をしてきた反面、飲食店での経験が少なかったので、ここでキャリアの幅を広げることもできるという楽しみもありました。

移住を決めてからまず何から始めましたか?

僕の場合は、仕事が先に決まっていましたし、住まいも三好市が用意しているお試し住居に入ることが決まっていたので、かなりスムーズに移住を進めることができました。なので、とくに意識したことはありません。

その分、喜田さんや施設の指定管理者になっている一般社団法人みよし未来創造推進協議会の丸浦世造さんなどが、池田の方たちにたくさん会わせてくれたり、いろいろなお店に連れていってくれました。やはり、移住では、場所というよりも、その土地の方々といかにつながりを作ることができるかが大事になると思いますので、その点ではとても感謝しています。

都会での仕事に未練はなかったですか?

僕の場合は、1999年から2008年まで東京で仕事をしていました。大学から東京にいましたので、初めて奈良に移住すると決めたときは、周囲から心配されたり、不可解に思われたりしていましたが、その時点で、地方には大きな魅力があると感じていました。

そして、東京と比べれば、奈良も地方ではありますが、市内は大阪や京都も近く、都会に近い環境だったと思います。奈良に比べると、三好市はさらなる地方であり、より小さなコミュニティになります。自然は多いですが、人口も少なく、飲食店や娯楽施設も減ってしまいます。逆に、人口減少や住民の高齢化といった地方都市が共通して抱える問題に加え、糖尿病率の高さや野菜摂取量の少なさなど、課題は多い。

だからこそ、自分がこれまでに培ってきた経験やスキル、知識を生かすことができ、地域に貢献できることが多いのではないかと感じます。これは、都会での仕事では感じにくい可能性であり、やりがいのある仕事だと感じていますので、未練は一切ありません。

三好市で暮らし始めていかがですか?

飲食店の数が少ないので、食べる楽しみは、以前よりも減ってしまったかもしれません。でも、若い人が始めた店が少しずつ増えてきて、近隣の街にはないものが食べられたり、飲めたりするので、寂しく思うことはありません。僕はお酒が好きなので、街中に酒蔵があるのもいいですし、個性的な居酒屋もあります。こだわりのワインショップもできて、逆に、楽しみが増えているくらいです。

吉野川という大きな川があり、少し山へ車を走らせれば、大歩危・小歩危など、美しい渓谷を眺めながらドライブができます。街中から山の緑を仰ぎ見ることができ、逆に、少し山へ登れば、美しい川の流れを見ることができる。自然が豊富なのは、どこの地方も同様だと思いますが、個人的には、こうした眺めが気に入っています。

また、夏には池田の阿波踊りがあります。子どものころからお祭り好きなので、太鼓や三味線のリズムが心地よく、すぐ近くで踊りを見られるのも醍醐味ですね。

あと、この三好市は、四国のへそと言われるように、香川、高知、愛媛、どこにも近い場所にあるので、気軽に遊びに行けるのもいいところだと思います。先日も、電車で高知へ遊びに行き、日帰りで鰹のたたきなどを堪能してきました。

今後の目標はありますか?

今は、『ミンデキッチン』の野菜たっぷりランチをより多くの方に食べてもらうことや、さまざまなイベントを開催するなどして、この施設の知名度を上げていきたい。多くの方がこの施設を利用してもらうことで、たくさんの交流が生まれ、三好が魅力的な街になっていったら嬉しいです。

あと、個人的には、空き家を利用して、料理本を中心としたブックカフェをオープンできたらと考えています。これは、ちょっと先のことになるかもしれませんけどね。

移住希望者へのメッセージをお願いします。

地方への移住は、ちょっとしたブームになっていますが、いざ自分のこととなると、不安が大きいと思います。仕事のこと、住居のこと、生活のこと、人付き合いのこと。。。でも、思い切って飛び込んでしまえば、なんとかなるものです。課題は多いと感じても、地域の人たちが協力してくれます。都会では希薄になってしまった人と人のつながりがあり、時として煩わしく感じるかもしれないけれど、その温かみにほっこりさせられることがたくさんあります。そして、都会にはない可能性があり、多くの人が活躍できる場がたくさんあると感じます。

でも、そうしたものは、旅行では見えにくいものです。短期でもいいので、この街で生活をしてみてはいかがでしょうか?その際には、お試し住居を利用してみるのがおすすめです。家具や家電もそろっているので、身一つで来れば生活できます。以前は僕も利用していましたが、なかなか快適ですよ。